インフルエンサーの口コミと強い拡散力を、企業がPRとして利用するなど、今の「広告」は、「広告」の形を必ずしも取らない傾向があります。

そんな中ですから、王道的な広告を「あんまり意味のないこと?」「お金をかけても効果が薄いこと?」と思われる人が少なくないのですが、決してそんな事はありません。

本来は広告専用ではないツールに応用を効かせて、広告として大いに役立てたい場合、ベーシックな広告の知識もやはり幅広く必要になるでしょう。

今回は、中国向けに商品・サービスを出す日系企業様が、ぜひ知っておきたい中国広告の基礎知識をまとめていきます。

中国だからこそ強い2つの広告、「ブランドリンク広告」「H5広告」についても解説しました。

中国の検索エンジン「百度(バイドゥ)」に出す主な3つの広告

詳しくは、コチラのコラム「中国語のホームページ制作をする前に知っておくべき注意点」を参照していただきたいのですが、簡単に言うと、中国大陸内では、GoogleおよびGoogle広告を利用することができません

“Google広告と、同じ感じの広告を中国で出す”なら、中国のメイン検索エンジン「百度(バイドゥ)」への広告出稿が必要となります。

百度への広告出稿のやり方(種類)は様々ですが、基本的にはGoogle広告のやり方とそう大きく変わるところはありません


1. リスティング広告
2. アドワード広告
3. インフィード広告  ……etc

Googleで展開する場合とほとんど同じですが、以下で簡単に解説しておきます。

【1】リスティング広告

検索キーワードによっては、オーガニック検索(自然検索)よりも、上位に表示させることができる種類の広告です。

【2】アドワード広告

あらかじめ設定したターゲット層(=購買・利用に繋がりやすい層)に広告を出すため、“空うち”しにくいことがメリット。

【3】インフィード広告

あるページの「コンテンツ」と「コンテンツ」の間に、そのコンテンツと同じフォーマット(=違和感の少ない見た目)で表示されるタイプの広告です。

インフィード広告は、ユーザーの潜在的なニーズに働きやすいという特徴を持ちますが、“目的情報に最短でたどり着くことを重視”する傾向が強い、中国のネットユーザーからの好感度は、やや低め

(※日本のネットユーザーも、インフィード広告を「正直要らない……」と思う人が一定数いますが、中国のネットユーザーはさらに多い感じがします。)

中国ならでは?「ブランドリンク広告」と「H5広告」

中国のネットユーザーの心理をつかんで、近年特にうまく活用されている広告の種類が、「ブランドリンク広告」「H5広告」です。

それぞれの特徴を、以下で簡単に解説していきます。

「ブランドリンク広告」は、自社の情報だけで検索画面を占有できる広告

「ブランドリンク広告」は、百度独自の広告方法の1つです。

ブランドリンク広告を活用すれば、ある検索ユーザーが「ブランド名」で検索をかけた時に、そのブランドの関連ページや関連動画で、ファーストビューを占有することができます。

競合他社が多く、情報量も多い中国のネットだからこそ重宝されている、思い切った広告の出し方であり、総合的なクリック率が非常に高くなるというメリットがあります。

ただ、どんな企業でもブランドリンク広告を有効活用できるのかというと、そうではありません。

ブランドリンク広告を出稿するためには、“百度リスティング広告で一定額以上の課金を行っている”という条件が必要となります。

加えて、ブランドの“名前”で検索される必要があるため、広告を出す時点で企業・ブランドの知名度が高くないと、広告としての役割を果たせません。

つまり、ブランドリンク広告をうまく使えるのは、中国で名が知れていて、リスティング広告にも莫大な予算をかけられる大手企業だということです。

「H5広告」は若年層を中心にして強い“シェア心理”を活用した広告

プログラミング言語「HTML5」を使った広告、通称「H5広告」が、ここ数年の間に中国で勢いを伸ばしています。

H5広告は、モバイル端末(スマホの縦型画面)での閲覧を前提に、アニメーションなどで“動き”をつけて作られていることが多く、私たちの感覚では「GIF画像が広告になった」ように感じます。

ただ中国でH5広告が強い理由は、動きがあって楽しいからではなく、単に見るだけの退屈な広告ではないからです。

H5広告には、通常の広告と違ったインタラクティブな仕組み(ちょっとしたゲームになっている、ストーリー作成ができる等)が多く存在し、その結果を「他の人に見てもらいたい=シェアしたい」と思わせる効果があります。

自分だけの結果を得ることができて、なおかつシェアしたくなるH5広告は、WeiboやWechatなどのヘビーユーザーが多い若年層へのアプローチに、とても秀でているのです。

日本でもTwitterやFacebookで、“H5スタイル”のプロモーションがリツイート・シェアされてきます。

そうした情報がどのように自分の元へ来て、どのように拡散されていくのかチェックすることは、「良い中国向け広告が何かを考える時のヒント」になるかもしれません。

“実際に中国向けの広告を出すにあたって、どの方法で出すことが最適なのか”は、業種・ターゲット・予算などによって異なります。

やってみなければ分からない、「賭け」的な要素もあるかもしれません。

ただし広告の出稿方法を問わず、共通して「成果を出すためのコツかも?」と想定していることもあるので、以下で簡単に説明しておきます。

広告は「オシャレさ」よりも「シンプルさ」を重視

中国向けの広告を作るなら、とにかくシンプルで分かりやすくすることが基本です。

日本のネットユーザーも、広告のデザインやテキストをじっくり見る機会は案外少ないですが、情報量の多い中国のネット上では、頭に入ってきにくい広告・読みにくい広告は、ほぼスルーされると考えてもいいでしょう。

また、広告をシンプルにするべきなのは、コスト上の理由もあります。

仮に競合が多いキーワードで、クリック式の広告を出すと、中国ではあっという間に予算消化してしまう可能性が高いです。(検索ユーザーの母数が多く、検索の機会も多いため)

凝った広告を作ることにお金をかけて、それを表示させ続けることにもお金をかけて、それに見合う反響があるのかどうかは、微妙なところ……。

であれば、最初から広告はシンプルにお金をかけずに作り、費用対効果のバランスをできるだけ取ることを選択したほうが、得策なのかもしれません。

アパレル・化粧品関係の広告や、先述した「H5広告」のようにシェア目的の広告でない限り、中国の広告は“一瞬で内容を理解できる”ところまで、内容を分かりやすくシンプルにしましょう。

ちなみに、デザイン・テキストをできるだけシンプルにする必要性は、広告だけでなく、中国向けのサイト制作全体にも共通します。

⇒ 中国受けするWEBページのデザインに見られる4つの特徴

【まとめ】中国で広告を出すなら、システムだけでなく言語・文化を幅広く理解することが必要


● 百度に出稿する広告のシステムは、Googleとほぼ同じ
● ブランドリンク広告やH5広告が独自的
● 費用対効果のバランスを取るのが日本よりシビア、
シンプルな広告を広く・長く出すことが基本

今回の、中国の広告についての話はここまでです。

システム的なところは、日本と類似しているものが多いため、そう難しそうに思わなかったかもしれません。

しかし実際は、なかなか日本の広告経験だけでは難しい点が、いくつもあります。

1つは言語の壁。それに付随して、「何を広告のテキスト・デザインに起こしてはいけないのか?」の判断も難しいです。

中国のネットは日本のネットよりも規制が厳しいため、日本の感覚で「まったく問題なし!」と思って作った広告が、ことごとくNGになることもあるでしょう。

また、中国における口コミの強さなど、国民性・文化性からくる戦略(KOLマーケティングなど)も必要。

⇒ KOLマーケティングとは?

中国で成果の出る広告を出すためには、中国の広告システム以外に、言語・文化さまざまな側面から、「中国」を理解しなくてはいけないので、想像以上の労力がかかるのです。

中国のネット事情に精通する人が自社にいない場合、現地(中国)の事情をよく知る、中国専門のWEBサポート会社に相談したほうが、質の高い広告を作れる可能性は高いです。

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