「売り上げアップ」のために、企業ブランディングがとても大きな役割を果たすことは、すでにほとんどの日系企業様が理解していることだと思います。


● ロゴマークの変更
● ユーザビリティの高いWEBサイトへのリニューアル
● コンテンツSEO
● SNSを使った企業PR  ……etc

現状“ブランド”として広く認知されていない、自社の知名度を上げていくため、マーケティング担当者は日々、様々な取り組んでおられるでしょう。

さて、日本でのブランディングは成功をおさめた企業が、より広い購買層をおさえるために、中国大陸への進出を考えている場合。

「日本で支持を得るため、様々なブランディングに取り組み、それが成功しているのだし、あえて売り込みを見直す必要はないのかな?」と思う人がいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

日本国内でのブランディングがイマイチで、「知名度アップに未だかなり伸びしろが残っているかも……?」という企業も、日本国内でのブランディングは一応成功をおさめている企業も、中国への売り出し(マーケティング・PR)は、日本での経験と切り分けて考えることを推奨します。

 
今回は、実際に当社『HLカンパニー』が、上海に拠点を置くマーケティング企業である独自の視点から、中国でのブランディングを成功させるための秘訣を、お伝えしていきます。

中国でのブランディングに成功している日系企業の例


● 資生堂
● 花王
● Panasonic
● SONY
● 東芝
● UNIQLO
● アサヒ
● サントリー
● キリン
● ハウス食品  ……etc

上記は実際に、中国でのブランディングを成功させている、日本の有名企業の数々です。

改めて調べてみると、中国でのブランディングに成功している企業の数が膨大であることに気付かされたのですが、全体的には、コスメ系や電気製品関連、飲食関係の企業が中国で強い傾向が見られます。

日本でのブランディングに大成功をおさめている企業が、必ずしも中国でも成功する訳ではない

上記で取り上げた、日本のコスメ系企業や電気製品関連企業、そして飲食関係企業は、ほとんど名前を聞いたことがあるでしょう。

資生堂も花王も、PanasonicもUNIQLOも、日本国内での認知度はほとんど100%に達するものと思われます。

要は、ずっと前に日本でのブランディングに成功しており、長くネームバリューを保っている大手企業ですよね。

では、「日本でのブランディングに成功してさえいれば、中国進出した時点でブランディングの成功は決まっているのか?」と問われると、答えは「NO」です。

例えば、“20~40代くらいの日本人では知らない人がいないほど有名で、海外でも注目されている日本の某アパレル企業”のことを、中国本土でずっと暮らしている人の多くが知らないことに、当社の日本人スタッフは大変驚きました。

また、Twitterで数百万のフォロワーを持つ日系企業関連の著名人の名前を、「△△っていう企業の○○さんって知っている?」と、社内中国人スタッフ数名に尋ねてみると、皆「うーん……?」と首をひねっていました。

(※聞いたことがあるような、ないような……という反応でした。)

その確実な理由は判断できかねるものの、中国向けのブランディングに、本腰を入れて取り組むのでなければ、仮に日本では名の知れた大企業であっても、おのずと注目されるとは限らないという訳です。

中国本土向けの本格的なブランディングをしない限り、日系企業やそこに関係する著名人の認知度は上がりにくいのは、中国本土のネット規制が厳しく、国外から入ってくる情報が少ないからかもしれません。

< 併せて読みたいコラム >

⇒ 中国のサイバーセキュリティ法律が日系企業に与える影響

中国でのブランディングを成功させる3つのポイント


1. 「安い商品(サービス)の需要」がまだ高いことに注目する
2. 「口コミの強さ」を知る
3. 知名度がない状態からのブランディングは「KOL」がカギ

上記で挙げたのは、日系企業が中国でのブランディングを成功させるために意識しておきたい、3つのポイントです。

以下ではそれぞれのポイントを、簡単に解説していきましょう。

【1】「安い商品(サービス)の需要」がまだ高いことに注目する

中国の経済は、確かに発展しました。日本に来た中国人観光客が、小売店で大量の商品を購入しているのを見て、「羽振りがいいのかなぁ……」などと、少し羨ましく思ったりするものですよね。

ただ、1つ覚えておきたいのは、“中国人が皆、お金を持つようになった”訳ではないことです。

全体的に国が豊かになっている一方で、いわゆる貧富の差が非常に大きいことが現状。

一部の富裕層を除き、安い商品(サービス)が何だかんだ売れます

「独身の日」など中国独自のセール日に大特価の広告を打ち出すなど、なのです。

< 併せて読みたいコラム >

⇒ 中国の特大セールカレンダー

【2】「口コミの強さ」を知る

近年の日本では、「口コミはあてにならない」という風潮があるように感じられます。

では中国はどうなのかというと、逆にメディアからの広告を「あてにならない」と思う傾向が強く、一般ユーザーからの口コミのほうを信頼します。

「猜疑心がどこに向くのか?」ということに、国民性によって差異が出ることを示す、興味深い傾向ですね。

ちなみに、中国では「口コミ」のことを「口碑(コウベイ)」と言い、中国でのマーケティングで意識するのは必須だという考えもあります。

もちろん、企業(の商品・サービス)の名を中国で広めるうえでも、「中国の口碑の威力」を活用しない手はありません。

中国の大型ECサイト「タオバオ」では、口コミでよい意見が集まる商品の人気が頭1つ抜けて高いですし、近年は口コミアプリ「小紅書(RED)」が急速に普及しました。

他にも口コミ主力の中国サイト・アプリは多数あるので、モニターキャンペーンなどを通じ、人から人へ企業のことを広めてもらいましょう。

< 併せて読みたいコラム >

⇒ 中国人×口コミの重要度

先ほど述べた「中国の口コミの強さ」から紐づくブランディング手法に、「KOL(キー·オピニオン·リーダー)の活用」があります。

KOLとは、SNSツールで拡散力を持つ人、いわゆる“インフルエンサー”のことです。

中国の検索エンジン「百度(バイドゥ)においても、日本のメイン検索エンジン「Google」と同様に、SEM(SEOやリスティング広告)が、企業の認知度アップには効果的です。

ただし、中国ではほぼ名前が知られていない企業の場合は、SEM頼りだとブランディングが成功するまでに時間がかかってしまうのです。

その時点で認知度が低くても、人気KOLに紹介されれば、短期間かつ広範囲に企業PRをできることが、KOLマーケティングの強みです。

KOLである程度まで認知度が高まったところで、SEMに取り組むと、さらによいブランディング効果が得られるでしょう。

< 併せて読みたいコラム >

⇒ KOLマーケティングとは?

「日本ブランドの過信しすぎ」に注意する

中国で、日本の企業のブランディングに取り組む際に注意したいのは、です。

「日本製の物なら信頼するだろう」「日本のブランドが好きだろう」というのは、少し前の、それもかなり偏った中国消費者のイメージ。

経済格差は大きいものの、着実に発展を遂げている中国では、「日本のブランドもの=良い」と無条件には考えない目の肥えた消費者が増えているのです。

「日本のブランドはすごい!」という思い込みは、中国に限らず、あらゆる国でのブランディングを停滞させる原因になるかもしれません。

【まとめ】中国でブランディングした日系企業が長く生き残るためには?

以上、「おさえておきたい3つのポイント」を中心に、中国で日系企業のブランディングを成功させる秘訣を紹介しました。

最後に1つ、述べておかなくてはいけないのは、ことです。

1回名前が売れたことに、“あぐらをかいてしまっている”と、移り変わりの激しい中国市場の中で、あっという間に置いてけぼりにされてしまいます。

日本のマーケティング・ブランディングでも同じことだと思いますが、常に時代に沿ったニーズを追及している企業が、中国でも長く生き残ることができる企業です。

今あるもののクオリティや値段を追及していくことも大事ですが、「今、中国ではどんな物が必要とされているのか?」と、広い視野を持って根本的に考える姿勢が必要そうです。

「中国でのブランディングを成功させたい!」という日系企業様のサポートが、当社『HLカンパニー』の仕事です。

まずはお気軽に、お問い合わせください。