『百度(Baidu/バイドゥ)』をはじめとして、中国国内で活用されているWEBサービス(SNS含む)の多くが、高い独自性を保っています。

それらを巧みに使いこなせるかどうかで、「日系企業がブランド力アップ・集客アップできるかどうか決まる」と言っても過言ではありません。

例えば、中国で人気を集めている日本のタレントは、TwitterやInstagramなどで日本のファン向けの発信をするだけではなく、中国独自のSNS『新浪微博(weibo/ウェイボ)』を使って、中国語で中国のファン向けに情報を発信しています。

中国由来のWEBサービスが、中国本土においてきわめて強い理由には、Googleなど世界的なWEBサービスが使えない情報規制の厳しさ、そして中国という“国そのもの”の特性と中国人の価値観が影響しているのですが、今回はそのあたりを一旦置いておき、


• 何かの代わりに中国で使われているWEBサービス
• 中国でのPR成功および売り上げアップに欠かせないWEBサービス

上記の観点から、中国で人気を集めるWEBサービスについて、解説していきます。

「中国で世界的なWEBサービスが使えない理由」を詳しく知りたい人は、下記コラムを併せてご覧ください。

⇒ 『中国のニューメディア事情 | 普及の経緯と独自の発展』

中国で使えない世界的WEBサービスの代わりに、中国人が重宝する6つのWEBサービス

GoogleやTwitter、YouTubeなど世界的にはメジャーでも、中国においては情報規制などを理由に使えないWEBサービスがいくつも存在します。

では、中国に住まう人がWEBで検索をしたり“つぶやき”をしたり、動画を見たりしないのかというと、もちろんそんなことはありません。

中国では使えないWEBサービスの代わりに、現在進行形で「中国発祥のWEBサービス」が日々展開され続けており、中国の人々の暮らしを支えています。


1. Googleの代わりに使われる「百度(バイドゥ)」
2. LINEの代わりに使われる「微信(ウェイシン)」
3. Twitterの代わりに使われる「微博(ウェイボ)」
4. Facebookの代わりに使われる「人人网(レンレン)」
5. Instagramの代わりに使われる「快手(クゥアィシォウ)」
6. YouTubeの代わりに使われる「优酷(ヨウク)」

厳密には「代わりに」ではなく、「同じような感覚で使える」と表現すべきかもしれませんが、この記事では便宜上「代わりに」としておきましょう。

【1】Googleの代わりに使われる「百度(バイドゥ)」

中国本土では「グレート・ファイアウォール」と呼ばれる大規模ブロッキングの影響で、Googleが提供するサービスをほとんど使用することができません。

当然Google検索も行えないために、中国生まれの検索エンジン「百度(バイドゥ)」が圧倒的シェアを占めることとなりました。

Googleのアルゴリズムとは異なる、独自アルゴリズムを百度は有していて、例えば“検索キーワードに関連深いページを限られた範囲から拾ってくる”のではなく、“検索キーワードに関連しそうなページを広い範囲から拾ってくる”などの特徴があります。

そうした細かいところ以外の、基本的な検索性能は、Google検索とほとんど同じです。

ちなみに、Googleアナリティクスと同じ感覚で使えるツールに、「百度統計」があります。

中国本土においてアクセス解析をする場合に、活用してみましょう。

百度・バイドゥについてもう少し詳しく知りたい人は、下記コラムを併せてご覧ください。

⇒ 『中国のメイン検索エンジン、百度とは?』

【2】LINEの代わりに使われる「微信(ウェイシン)」

LINEと同じ立ち位置のWEBサービスが、中国の「微信(ウェイシン)」です。

微信は「WeChat / ウィーチャット」とも呼ばれ、このWeChatによる決済システムや予約システムが、中国人の暮らしに密接しています。

メッセージや通話だけでなく、毎日の買い物や移動などあらゆるアクションを、WeChat1つで便利に済ませることができますし、それが当たり前と捉えられています。

中国から日本に訪れた観光客の中には、「WeChat Payが使えないなんて驚き!」という人が少なくありません。

中国向けのマーケティングを行うなら、WeChatなどから起こる“支払い感覚の違い”を、理解することが必須だと言っても過言ではないでしょう。

【3】Twitterの代わりに使われる「微博(ウェイボ)」

中国は、SNSの種類が非常に多いです。その中でも、Twitterの使用イメージにおそらく1番近いものが、「微博(ウェイボ)」でしょう。

カジュアルに日常を呟く感覚や、フォロー・フォロワーの仕組みなどが、Twitterとほとんど同じであり、中国独自のWEBサービスに慣れていなくても扱いやすいです。

そのため、日本のいち芸能人・タレントが多く活用しているSNSでもあります。

【4】Facebookの代わりに使われる「人人网(レンレン)」

日本においてFacebookは、カチッと引き締まった印象のSNSですよね。

Facebookはプロフィール上で本名や学歴、現在の勤め先を明らかにして匿名性を下げ、発信する情報の信頼性が高いことを認識してもらうなど、他のSNSではあまりしない使い方をすることが多いです。

このFacebookの代わりになるものが、「人人网(レンレン)」という中国のWEBサービス。

人人网は、Facebookと同様に実名登録が推奨されているSNSで、中国にあるその他多数のSNSと比較して、やはりFacebookと同じように【5】Instagramの代わりに使われる「快手(クゥアィシォウ)」

中国では使えないInstagramと、同じ感覚で使われているWEBサービスが「快手(クゥアィシォウ)」です。

Instagramと違い、快手が投稿・共有できるのは動画のみ(57秒以内)。

ただ中国では写真や画像よりも、動画を使った自己PRや企業PRが大流行中で、そのために動画に特化したSNSが強く支持されているので、快手の立ち位置はInstagramに匹敵すると見てよいのです。

Instagramの機能に近いWEBサービスには、他に高解像度アップロードに優れた「糖水(タンシュイ)」、プロモーションに強い「nice」などもあります。

大人気動画サービス「TikTok」は中国から伝わってきた

中国では動画を使った自己PR、および企業PRが大人気であることを先述しました。

実はその“人気の波”は、日本にも届いています。

若年層を中心に大流行している「TikTok(ティックトック)」、このWEBサービスは中国で生まれて、日本までそのムーヴメントが波及したものなのです。

中国語では「抖音」という名で同サービスが普及しており、中国にはヘビーユーザー(毎日活用する)が、7000万人以上いると推測されています。

【6】YouTubeの代わりに使われる「优酷(ヨウク)」

中国では現状、Googleが提供するWEBサービス全般が規制されているので、その代表格であるYouTubeの視聴もできません。

その代わりに動画視聴サービスとして、中国のネットユーザーに普及しているのが、「优酷(ヨウク)」です。

日本でいうユーチューバーが活躍しているのも优酷界隈で、日本でも人気のゲーム実況動画もアップロードされています。

优酷はYouTubeよりも著作権に違反する動画の管理が甘く、日本のアニメやドラマの違法アップロードのために悪用されることもしばしば。

しかし优酷はもちろんこの事態を問題視しているので、これからはYouTubeのように、どんどんチェックが厳しくなっていくかもしれません。

ちなみに优酷の他にも、中国で利用されるYouTube代わりの動画視聴サービスには、「爱奇艺(アイチーイー)」「腾讯视频 / テンセントビデオ」があります。

他にも様々ある、○○代わりの中国WEBサービス

今回の記事では詳しく取り上げませんが、中国本土では使えないWEBサービスの代わりに、中国で普及しているWEBサービスは他にも数多くあります。

以下で、いくつか名前だけ紹介しておきましょう。


• 中国版ニコニコ動画 ⇒「嗶哩嗶哩(ビリビリ)」
• 中国版食べログ ⇒「大衆点評」
• 中国版ホットペッパー ⇒「小紅書 / RED」 ……etc

PR成功および売り上げアップに欠かせない中国のWEBサービス

中国本土における商品やサービスのPR成功、およびそれに基づく売り上げアップのために、まず1番大事なのは「WeChat」でしょう。

日本でLINEを活用して新商品やSALEの情報を配信するように、WeChatでも積極的に情報発信を行うことが推奨されています。

その理由は、ユーザーが「情報を見る」から「商品を買う」までに踏むフローが、WeChatの場合、最小限に短縮されていることにあります。「公式サイトに遷移する」過程が丸々省かれると考えると、分かりやすいです。

要は、WeChat活用の場合、ユーザーを迷わせないぶん、コンバージョン率が高いのです。

中国のネットユーザーのほとんどが利用しているという、アプローチのかけやすさも魅力です。

中国版SNSで影響力の強い人に宣伝を依頼する「KOL」

また、中国版SNS全般を活用したPRの効果が、おそらく日本よりも高いことも、知っておけば便利です。

日本で“インフルエンサー”が宣伝した商品・サービス、観光地の人気が上昇することがあります。

中国においても例外ではなく、SNS上で注目を集める人物(ただしタレントではない)による、商品・サービスの宣伝効果が他国よりも高いことは、中国マーケティング通の間でもはや常識。

宣伝したい商品に対して専門性が高いけど、タレントではない人物(ヘアトリートメント⇒カリスマ美容師など)に依頼できれば、より高い宣伝効果を生み出しやすいでしょう。

こうしたマーケティング手法は、「KOL」と呼ばれています。

中国ユーザーは長い動画広告などを嫌う傾向が強く、企業からの一方的な宣伝を疑っており、その一方で一般人の口コミを信用している傾向があるため、「KOL」のような中国版SNSで効果を生みやすい手法が、評価されているのかもしれません。

まとめ


• 中国で使えないWEBサービスの代わりに、何が台頭しているのか知ろう
• 中国から起こったWEBサービスで最も重要なのはWeChat
• 中国版SNSを活用した「KOL」に注目しよう

以上、情報規制などをキッカケに、中国人の生活・文化に合わせて発展した、WEBサービスについて紹介しました。

中国本土では使えないWEBサービスに対し、どのWEBサービスが代替しているのか把握することは、この記事に目を通すように、簡単にできます。

ですので、中国進出での成功を目指す日系企業様は、「なぜそのWEBサービスが選び取られているか?」、もう一歩先に考えを及ばせてみてください。

そこに、中国マーケティングのさらなるヒントが隠されているでしょう。

中国版WEBサービスを活用したマーケティングを行うならHLカンパニーにご相談ください。