スマートフォンやタブレットの普及に伴い、「メディア」の新しい形が次々に生まれ、人々の生活に密着するようになりました。

新聞やテレビ、ラジオなど従来からあるメディアを「マスメディア」とするなら、スマホなどを媒体に得る新しい情報、およびその情報入手のためのツール(SNSなど)は、「ニューメディア」だと呼べるでしょう。

特に中国におけるニューメディアの普及・発展の速さには、まさに目を見張るものがありました。

日本企業が中国でのビジネス展開に力を入れるならば、このニューメディアの存在を無視して成功する可能性は、ほぼ皆無だと言っても過言ではないはずです。

そこで今回は中国におけるニューメディアの普及事情、そして情報規制を背景にした独自的な発展事情について、まとめてみました。

中国におけるニューメディア普及のキッカケ

中国において、スマホなどを媒体にしたニューメディアが普及したタイミングは、2009年ごろ。

これは、日本でニューメディアが普及したタイミングとほぼ同時期です。

それまでにも、テレビ・ラジオ・新聞(マスメディア)に代わる新しいメディアは、WEB上で徐々に頭角を現しつつありましたが、“誰でも、いつでも、簡単に”情報検索ができる、2009年ごろからのスマホの普及によって、ニューメディアの存在意義も爆発的に大きくなったのです。

【疑問】中国はニューメディアの普及率が高いというのは本当?

「諸外国とくらべて、中国はスマホおよびニューメディアの普及率が高いって本当?」と、疑問を持たれる人が、少なからずいらっしゃるようです。

ネット上で公開されている、様々な視点からの普及率データの正誤については、当社『HLカンパニー』がデータを集計したことは無いために、何とも言えません。

ただ、実際に中国を拠点に会社を動かしていて、ニューメディアの“普及率の高さ”ではなく、“依存性の高さ”を感じています。

実際で中国で暮らしている人々の生活風景を見ていると、いかに中国のスマホユーザーがニューメディアの情報を頼りにし、それを基に生活の基盤を作っているのかがよく分かります。

そうした“中国ネットユーザーの生活と、ニューメディアの結びつきの強さ”については、次の項目でもう少し深く掘り下げてみましょう。

中国ならではのニューメディアと人々の生活の結びつき方

日本のユーザーも、スマホで情報検索をしたり、専用アプリを使ってサービスの予約・注文をしたり、YouTubeなどで動画を見たりすることは、もう生活の一部です。

スマホ普及以前のメディアでは、情報を“受け取る”ことがメインでしたが、ニューメディアにおいては自ら情報を“発信する”ことも、欠かせない要素の1つです。

そして中国においては、「ニューメディアの利用価値が、日本よりもずっと高い」ということが観察できます。

例えば中国の検索ユーザーは、何か物を購入する際、ニューメディアの1つと言える「口コミ系サイト」に投稿された口コミを、日本の検索ユーザーよりも重視する傾向があります。

「膨大な数の商品から粗悪な物を省き、いい商品にピンポイントでたどり着きたい」と考える中国ユーザーならではの合理的思考です。

その他、中国各地の決済システムが、WeChat(微信)の発達・普及の延長線上にあることを踏まえても、人々とニューメディアの結びつきがきわめて強いことを現せます。

「スマホとニューメディアがあれば何でもできる」、その逆に「スマホとニューメディアが無ければ何もできない」という表裏一体の事情が、中国では特に顕著だというわけです。

< 関連コラム >

⇒ 中国人 × 口コミの重要度
※【HL上海webだより23号】のページにリンクしています。

中国“独自”のメディアが発展した経緯


• 検索サイト
• 動画サイト
• ECサイト
• 口コミサイト
• Q&Aサイト
• SNS  ……etc

上記のようなニューメディアを、中国ユーザーはうまく活用、そして生活にほぼ一体化させていることは、先ほどの項目でも述べた通りです。

ただ1つ、中国向けの情報発信(WEBサイト制作など)を行おうとする日本企業が注意しておきたいのは、“これらのニューメディアがほぼ、中国独自に発展しているものである”という点です。

日本の場合は「検索するならGoogle」、「動画を見るならYouTube」というある種の“常識”的なものがあって、それは世界の多くで通用するものでもあります。

しかし、中国には情報規制があり、簡単に言うと世界で広く利用されているGoogleやYouTube、Twitterなどのニューメディアを、使用することができないのです。

そしてそれらの代わりに、中国独自のニューメディアが数多く台頭・発展しています。

例えば、Googleのように百度(baidu・バイドゥ)を使い、YouTubeのように优酷(youku・ヨウク)を使い、Twitterのように微博(weibo・ウェイボー)を使います。

私たち日本人にとっては聞き覚えのないニューメディアでも、中国においては唯一無二、生活と切り離せない大事なニューメディアであることを、念頭に置かなくてはなりません。

中国のニューメディアは「細分化」のち「統一化」されてきた

厳しい情報規制により、世界的にはスタンダードでも中国では使えないニューメディアが増え、その代わりに使える中国由来のニューメディアの勢いが増したり、新たな中国専用ニューメディアが生まれるなどしました。

その結果、中国のニューメディアは一時期飽和状態と言っていいほど数が増え、細分化されたのです。

しかしこれでは、少しでも異なる情報を求めるごとに、違うニューメディアを活用しなくてはいけない状況に陥り、「何でもスマート・シンプルに済ませたい」という多くの中国ネットユーザーの意思に反します。

そこで近年は、あちこちに細分化したニューメディアが、徐々に集約されてきました。

中国独自のニューメディアの集約先として、現状最も適しているのが微信(WeChat・ウェイシン)です。

微信は、日本で言うところのLINE(チャットツール)であるのと同時に、中国のキャッシュレス社会を支える要でもあるため、これを無視した中国向けWEBサイトは、成果は出にくいものと思われます。

【まとめ】中国におけるニューメディアの普及事情と独自発展事情


• 日本とほぼ同時期、2009年ごろからニューメディアが普及
• ニューメディアと中国の人々の生活の結びつきはきわめて強い
• 情報規制を背景に、中国独自のニューメディアが発達した
• 細分化された中国独自のニューメディアは徐々に統一の傾向を見せている

以上、中国におけるニューメディアの普及事情と、独自的な発展の事情について解説しました。

ニューメディアの普及のキッカケや時期は、日本とほぼ変わりませんが、人々の生活への根付き方や独自ニューメディアの発展に、中国ならではの特徴を見出しています。

この記事で取り上げたメディア以外にも、中国独自のメディアは多数存在しますし、もまだまだあります。

今や「日本のメディア事情と中国のメディア事情はまったく別物」だと言っても過言ではないくらいなので、中国向けのWEBサイトを制作するにあたり、制作会社を選ぶ際には、中国のWEB事情を詳しく知っている制作会社を選ぶべきですね。

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⇒ 中国拠点ホームページ制作会社の選び方
※【HL上海webだより29号】のページにリンクしています。

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