サマーセールウィンターセールなど季節ごとのセールや、年末の大特価セールなど、人々の購買力が一気に高まる時期を、見逃さないことは売り上げアップの基本。

もちろん、中国でもセール時期は売り上げアップの大チャンス。

中国は独自の文化・暦(こよみ)を持つため、日本の感覚では「何でその時期に?」と思う時期に、超大型セールが開催されます。

中国でサービスを展開するなら、そうした中国独自のセール時期を把握することは必須でしょう。

今回は、絶対に外せない中国のセール時期のほか、中国独自のセール事情についても、少しお話します。

中国大型セールの代表格は「独身の日」と「京東の日」

中国のセール時期を知るうえで、絶対に外せないのが11月11日「独身の日」です。

次いで、中国の大事なセール時期を選ぶとするなら、6月18日の「京東の日」でしょうか。

中国の「独身の日」と「京東の日」、それぞれのセール時期の詳細は、次の項目で説明します。

「11月11日=独身の日」は中国で1番のセール時期

日本では「某お菓子の日」のイメージが強い11月11日、中国では大安売りの激戦が繰り広げられています。

もとは中国ECプラットフォームの最大手『アリババグループ』が始めた、「独身の日」のセールイベントは、今や中国のほとんどのECサイトに影響しているようです。

このセール時期における、ネットユーザーの購買力は尋常ではなく、2018年の独身の日、アリババグループの売り上げは、たった1日で3.5兆円を超えました。

Amazon日本事業の売り上げが、2018年1月~12月通年で約1.5兆円なので、比べてみると「独身の日」の売り上げの凄まじさが分かります。

「独身の日」はセールのターゲット層が広く、様々なジャンルの商品が割引されます。

しいて売れ筋を挙げるなら、家電製品やスマホ、美容系グッズの、ベビー用品などです。

「独身の日」なのは11月11日だけですが、セールは数日前から開催されることがほとんど。

“競合他社から遅れを取らずに、安売り期間が長すぎでもないタイミング”をうまく見計らうことが必要なようです。

「6月18日=京東の日」は“良い物を安く買う”サマーセール時期

アリババグループに次ぐ、巨大ECプラットフォーム『京東(JD.com)』は、アリババの作った「独身の日」に対抗して、京東の設立日6月18日をセール日とする、「京東の日(別称:618)」を作りました。

この一大サマーセールにも、中国国内多数のECサイトが参加しています。

2018年「618セール」の京東売り上げは約2.7兆円と、「独身の日」のアリババ売り上げに迫る勢いです。

売れ筋にも大差はなく、ベビー用品・生活用品など、しょっちゅう買わなくてはいけない物をまとめ買いする傾向があるようです。

京東のセールコンセプトは、「良い物を安く買う」こと。
これは、中国から日本へ旅行に来た観光客が、家電量販店・ドラッグストアなどでまとめ買い(爆買い)をする心理と、共通しているものがあるかもしれません。


● 3月8日「女王節」
⇒ 日本では「国際女性デー」
● 5月20日「恋人の日」
● 11月第4木曜日の翌日「黒五」
⇒ 日本では「ブラックフライデー」
● 12月12日「ダブル12」  ……etc

先述した2つの大きなセール以外で、中国で暮らす人々に注目されているセール時期は、上記の通り。

新商品が定価で出やすい秋をのぞいて、まんべんなくセールの機会があることが分かります。

中国特有のセールにまつわるプチ事情

以下では、「中国ならでは」とも言える、ちょっとしたセールの事情をお伝えします。

日本のセールと中国のセールの違いは、調べてみると結構興味深いものです。

【1】かつて中国では家族・カップル向けのセールが多かった

まずは、「そもそも独身の日や京東の日が、なぜこれほどまでにフィーチャーされているのか?」という話です。

実はこれらのセール時期ができるまで、中国のセール時期は、“家族・またはカップル向けに開かれて、単身世帯の購買意欲をあまりそそらない”という傾向が見られました。

値下げになる物も1人暮らしでは使わない物が多く、「セールの時期だけど、独り身の自分には関係ないか」と財布の紐はキツく閉めたまま……。

そうした単身世帯の購買力を上げることになったのが、独身の日や京東の日など、新しいセール時期の登場です。

先述した通り、独身の日などで値下げになる商品の幅は広く、「1人暮らしでも欲しい物」も増えました。

本来、単身世帯は自由に使えるお金の多い層でもありますから、家族やカップルにターゲットを絞らないセールの誕生は、結果として中国のECサイト全体の売り上げを、大きく底上げしたのです。

【2】セールの概念に「buy1 give1」がある

日本で「セールとは何?」と聞かれると、多くの人が「物を安く買えること」と答えるのではないでしょうか?

実は中国には、割引・値下げとは別の“お得”に関する概念があります。

それが、「buy1 give1」。簡単に言うと、「1つ買うともう1つ無料で同じ物をあげます」という販促です。

中国へ旅行へ行ったことがある人なら、土産物店でこの「buy1 give1」の売り方を見たことがあるかもしれませんね。

「1つを半額にしたほうが売れやすいに決まっている!」というのは、日本の感覚でしかなく、中国では“必ずしもセール=割引ではない”ことが面白いところ。

「割引のしようがもう無い」、あるいは「競合他社のセールと差別化したい」と言う時、こうした中国ならではの“得”の概念が他にないか探してみることも、1つの賢い選択です。

中国のセール時期中、ECサイトがやるべきことは?

“売れそうな商品を値下げする”ことが第一ですが、それ以外で中国のセール時期にECサイトがやるべきことは、広告の集中投下です。

中国のWEBの世界は、競合数・情報量ともに多いため、タイミングを見極めて広告を出稿しないと、日本と同じ感覚では効果が出にくいです。

「ここぞ!」というタイミングで広告にお金をかけたい企業の、「ここぞ!」こそが、独立の日や京東の日に代表される、中国のセール時期。

“1年のうち、どこかで思い切って広告を打つ”なら、中国のセール時期がふさわしく、KOLなどのPR手法も、セールに間に合うように行えばより効果的かと思われます。

⇒ KOLマーケティングとは?

「中国セール時期の莫大な売り上げ」と「普段の売り上げ」、どちらも大事

以上、中国では見逃せないセールの時期、および中国のセールにまつわる豆知識をお伝えしました。

ここでは、“いつ安くするか”の話に主軸を置いていますが、定価でも物が売れやすい「秋ぐち(=家電製品などの新型が出る)」、「旧正月(春節)」なども忘れずにおきたいところです。

ただ、セールで物を安く売るにも限界・限度があります。

現状、毎年売り上げを大幅に更新している「独身の日」ですら、ずっと注目され続ける保証はなく、「この先の売り上げは緩慢としていくだろう」という意見も……。

セールというチャンスを逃さず、売り上げを確保することも大切ですが、それと同時に普段の売り上げを伸ばしていくことにも、しっかり力を入れたほうがいいです。

そのためには地道なブランディングをしたり、中国のネットユーザーが1番使いやすいWEBサイトに改善したりする必要があります。

⇒ 成果の出る中国向けWEBサイトの制作なら『HLカンパニー』にお任せください。