中国向けのWEBサイトを初めて制作するにあたって、日本のWEBの担当者の多くが「何それ?」と疑問に思うのは、icp申請およびicpライセンスの取得に関することではないでしょうか。

中国大陸内で公開するWEBサイトは、icp申請・登録を行うことが義務づけられているのにも関わらず、「現地(中国大陸内)に法人がないと申請すらできない」という厳しい条件があるため、もはや‟お手上げ状態”の人も少なくないようです。

そこで今回は、「どうにか滞りなく中国向けのWEBサイトを開設したい!」という人に向けて、icp申請・登録、そしてicpライセンスの取得に関する基本情報をお伝えします。

中国のicp申請とは「会社の情報記録から許可までのフロー」のこと

icp申請やicpライセンスの「icp」とは、『Internet Content Provider(インターネット コンテンツ ブロバイダ)』の頭文字を取った言葉です。

中国で公開するWEBサイトの内容、および発信者の信頼性を明らかにするため、まず中国のプロバイダが会社情報の記録(ファイリング)を行います。

記録された会社情報は、中国人民共和国工业和信息化部(工信部)に送付され、無事にこちらの会社情報の信頼性が認められれば、中国でWEBサイトを公開、およびWEBコンテンツを展開する許可が得られます。

この一連の流れが、一般的に「icp申請」と呼ばれるものです。

「icp申請」と「icpライセンス」の違いについて

icp申請」と「icpライセンス」は混同されがちで、混同したところでさほど大きな問題も無いのですが、厳密にはこの2つには“違い”があります。

icp申請とicpライセンスの違いは、‟中国でWEBサイトを公開すること”を、‟日本で住所申請をすること”に置き換えて考えると、分かりやすいかもしれません。

● icp申請 ⇒ 住む所を役所に申請する行為
● icpライセンス ⇒ 申請が受理され、発行される市民カードの番号

まだややこしいかもしれませんが、「icp申請」は申請・登録行為そのものを、「icpライセンス」はicp申請の結果得られる“証”のことだと、大まかに理解していれば十分です。

当社『HLカンパニー』も、中国大陸内でWEBサイトの制作・運用をしたり、そのためのicp申請の代行を請け負ったりする会社ですので、icpライセンスを取得しています。

上の画像の赤枠で囲っている数字列が、icp申請をクリアした企業に交付される番号です。

2005年以降、中国でicp未申請のWEBサイトを公開することは違法になりました。

icpライセンス(番号)の記載がないWEBサイトが、もしもネットパトロールで発見された場合、罰金の支払い命令やWEBサイトの封鎖措置が下されてしまいます。

ただ、今の中国のネットにおける‟情報量の多さ”を考えるとおそらく、「自分で信頼できる情報を掴まなくては、質の悪い商品やサービスを掴まされてしまう!」という意識は、法律上の理由が無くても、自然と中国のヘビーネットユーザーの間に根付いただろうと推測できます。

仮に中国にネット規制が存在しなくても、いずれは「icpライセンスが記載されていること」が、“売れる”サイト制作上の必須条件になっていたのではないでしょうか。

中国でicp未申請のサイトは違法になるのはどうして?

罰金や強制封鎖などの厳しい措置がとられる、icp未申請の中国WEBサイト。

なぜ「違法」とするのか、明確な答えを知ることは、いちネットユーザーには出来かねます。

中国当局から、icp未申請のサイトを違法にする理由について、公的な回答が無いためです。

ただ、推測されている範囲でのicp申請義務化の目的は、「ネット上の違法なWEBサイト操作を防止し、悪意のある情報から中国ネットユーザーを守るため」や、「中国国内企業を成長させるため」であるだろうと言われています。

ちなみに香港に限っては、WEBサイトのicp申請および、icpライセンス取得の必要はありません。

あくまで中国“大陸内”で見られるWEBサイトを開設する場合に、icpの手続きが必要となります。

中国の「icp申請」から「icpライセンス取得」までの流れ

icp申請は、中国大陸内に「実態を持つ企業」が行うことができます。

一般事業だけでなく、社会団体や医療関係など、中国の営業許可証を持っている会社・団体であれば申請可能です。


1. ドメインを購入する
2. プロバイダと契約をする
3. WEBサイトを運営する会社の資料をプロバイダに提出する
4. プロバイダから工信部に資料を提出する
5. 工信部が会社資料の審査を開始
6. 工信部の審査結果が合格であれば、icpライセンスが発行される

簡略化してはいますが、大まかに上記6つのステップを踏んで、icp申請は完了します。

プロバイダと工信部両方の2つのジャッジが必要で、基本的に‟(WEBページを作る)会社と工信部で直接やり取りをしない”ことが、中国のicp申請に煩わしさを感じる一因かもしれません。

icp申請にかかる費用の目安は0円 ※自力で行う場合

icp申請およびicpライセンスの取得を、完全に自力で行う場合にかかる費用は0円です。

プロバイダ経由で工信部から、審査費用やライセンス番号の発行費用などを請求されることはありません。

もしも、中国進出企業向けのWEBサポートを行う会社に、icp申請を依頼する場合は、費用が発生します。

金額は会社によってまちまちですが、目安として初期費用は10万円前後、維持コストは月々1万円前後と見ておくとよいでしょう。

実際に公開したい時期より余裕を見て、icp申請を進めたほうがよいです。

「icp申請の代行」を中国拠点のWEBサポート会社に依頼するメリット

icp申請の代行を、有料で請け負う中国拠点のWEBサポート会社があることは、先ほど「icp申請からicpライセンス取得までの流れ」の項目で説明しました。

お金をかけてまで、icp申請を中国のWEBサポート会社に代行するメリットは、やはり複雑な手続きの負担が無くなることにあるでしょう。

icp申請を進める際の“障壁”は、中国プロバイダおよび工信部に正しく理解される会社の資料準備や、言語の違いにあります。

中国独自のネット事情に精通しているか、中国語に堪能であることが、スムーズにicpライセンスを取得する条件ですが、そう誰しもが簡単に会得できるものではありません。

また、icp申請に関する予備知識を入れていても、実際に準備を進めよう、手続きを進めようとすると、「これはどうすればいいの?」と分からなくなるケースは頻出します。

「餅は餅屋」という諺があるように、「中国のicp申請は中国のWEBサポート会社に任せたほうが効率がいいかも」ということです。

まとめ

以上、中国でWEBサイトを公開するなら必ず通るであろう、icp申請ならびにicpライセンス取得の基礎知識について、まとめました。

icpライセンス取得までのフローがとてつもなく多いという訳ではありませんが、プロバイダと工信部のダブルジャッジをクリアする必要があることや、中国語という言語の違いが、その道のりを険しいものにしています。

icp申請が壁となり、中国向けマーケティングの展開が遅くなることが懸念されるのであれば、有料でも日系企業のサポート実績を多数持つ、中国拠点のWEBサポート会社に‟外注”することを、視野に入れてみましょう。

icp申請・登録の代行は当社『HLカンパニー』にもお任せいただけます。

中国向けWEBマーケティングのことでお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。