スマホやタブレットが普及した現在、いわゆる「メッセンジャーアプリ」が、私たちの生活に密着した存在となりました。

日本では「LINE(ライン)」というアプリが、プライベートのメールや電話の代わりとして日常的に使用されています。

(今の若い世代が、友達のメールアドレスや電話番号をアドレス帳に登録することは、ほとんど無くなっているのではないでしょうか。)

ただし、中国国内でメッセンジャーアプリとして一線を画しているのは、実はLINEではありません。

LINEの代わりに、「WeChat(ウィーチャット・微信)」というメッセンジャーアプリが、スマホ・タブレットなどを使用する中国人の必須ツールとして定着しつつあります。

そこで今回は、中国のメッセンジャーアプリの王道「WeChat」と、日本のメッセンジャーアプリの王道「LINE」の共通点、そして相違点についてお伝えします。

中国で「WeChat(ウィーチャット・微信)」が台頭している経緯

「WeChat」「LINE」の共通点および相違点を解説する前に、中国国内でなぜWeChatが独走状態にあるのか、簡単に説明します。

もともと中国でLINEが使えなかったのかというと、実はそうではありません。

数年前までは、日本版のLINEを中国でも使用することはできたのですが、中国独自のインターネットの厳格な規制化が、LINEの使用も不可能にしてしまいました。

“LINEが中国国内で使えなくなってしまった”、その代替策としてWeChat(微信)が、スマホ・タブレット世代に急速に受け入られていったという訳です。

中国の「WeChat」と日本の「LINE」の共通点

  1. ● メール(チャット)ができる
  2. ● ボイスチャットができる
  3. ● 電話をかけられる
  4. ● 動画通話ができる
  5. ● フェイスブックにあるようなソーシャル機能がある
  6. ● LINE PAYのように決済ができる  ……etc

上記のように、「WeChat(微信)」持つ基本的な機能は、日本で普及している「LINE」とほとんど変わりません。

WeChatとLINEの違いは機能そのものよりも、利用者(中国人)の文化の違い、そしてメッセンジャーアプリと実生活の密着度の違いに影響するものが大きいと考えられます。

以下で詳しく、それらの違いを取り上げていきましょう。

中国の「WeChat」と日本の「LINE」の相違点

日本の「LINE」で使用可能な機能は、「WeChat」でもほぼ同じように使えることを先述しました。

たださらに、WeChatにはLINEを越えるような便利な機能が、いくつか組み込まれています。

また機能面ではなく、「スマホ・のメッセンジャーアプリが中国で暮らす人々にとってどれだけ欠かせないものになっているのか?」という点も、LINEとは大きく異なるのです。

以下ではそうした中国の「WeChat」および日本の「LINE」の違いをいくつかピックアップしました。

  1. 1. WeChatは利用層が非常に広く、ビジネス手段として使用されることが普通
  2. 2. キャッシュレスの進化にWeChatのシステムが対応している
  3. 3. 中国で生活するために必須の「予約」がWeChatで簡単にできる

【1】WeChatは利用層が非常に広く、ビジネス手段として使用されることが普通

日本の「LINE」は、どちらかというとカジュアルなコミュニケーションツールとして活用されるものです。

取引先の人にチャットでメッセージを送ることや、LINE通話をかけることはほとんどないですよね。

日本のビジネスシーンではGmailや通常の電話通話、専用チャットツールでのやり取りが一般的です。

カジュアルなコミュニケーションが主の「LINE」と線引きをして、ビジネスコミュニケーション用に「LINEWORK」というサービスがありますが、まだ普及しているとまでは言えないでしょう。

一方中国の「WeChat」はカジュアルシーンにおいても、ビジネスシーンにおいても、分け隔てなく利用されている傾向があります。

そのため、中国国内においてスマホ・タブレットでやり取りをするために、WeChatをインストール(ダウンロード)することは、ほとんど当たり前だと認識されている状態です。

中国におけるスマホ・タブレット所有者の9割以上は、プライベートでもビジネスでも、WeChatをコミュニケーションツールとして利用していると言われています。

【2】キャッシュレスの進化にWeChatのシステムが対応している

中国は、日本と比較してキャッシュレス(現金を使用しないこと)が進んでいます。

合理性を重視する国民性があると言われている中国の人々は、あらゆる支払や現金の受け渡しが、スマホ・タブレット上で完結できると便利だと考えました。

そこで普及率がきわめて高いWeChatに即時支払い・即時注文など、金銭のやり取りに便利なシステムを多く採用したのです。

現状、日本のLINE経由で通販をしたいなと思った場合、「①届いたメルマガに記載されたURLをタップ」、そして「②公式通販ページに推移して、カートに入れて決済方法を選ぶ」という流れで欲しい商品を購入することが一般的です。

しかしWeChatの場合は、公式通販ページに推移することなく、お店から受け取ったWeChatのメッセージ内で即座に買い物を済ませることができます。

近年、ようやく日本のLINEにも様々な決済機能が導入されてきましたが、まだ中国のWeChatの決済システムの利便性の高さには及びません。

【3】中国で生活するために必須の「予約」がWeChatで簡単にできる

日本にも予約システムがありますが、お店に直接連絡を入れたり、専用のアプリ・サイトを活用したりすることが一般的です。

これでもいいのは、日本では”予約が必須の状況”がそもそも少ないからです。

しかし、中国では違います。日本とはまさに桁違いの人口の多さですから、お店は常に人でいっぱいで、タクシー1台つかまえることにも大変苦労します。

つまり中国国内では、様々な物事を常に前もって予約しておかなくては、スムーズに生活することが難しい環境であると言っても、過言ではないでしょう。

国民のスムーズな日常生活をサポートし、国全体の混雑を解消するために、WeChatは重要な情報を担っています。

金銭の受け渡し(通販)システムと同じく、各店舗・サービスの独自アプリなどを利用しなくても、WeChat1つあれば、様々な場所・サービスの予約を完結させることが可能なのです。

まとめ

以上、中国の「WeChat(ウィーチャット・微信)」と日本の「LINE」の、共通点と相違点についてお伝えしました。

知人とコミュニケーションを取る(メール・電話等)ツールとして備えている、基本的な機能は両者ともほとんど同じです。

しかし、人々の暮らしへの根付き方については、WeChatのほうが上手(うわて)であり、「中国国内では使用できなくなったLINEの上位互換がWeChatである!」と言う人もいらっしゃるほどです。

ただWeChatは様々なことができすぎるが故に、企業にとっては扱いが難しいというデメリットがあります。

中国の中小企業において、WeChatのシステムを熟知しているWEB担当者が在籍していることは少ないのです。

そのため、「最大限にWeChatの機能を活用してもらうなら、外部に頼んだほうが賢明だろう」と、WeChatについては外部運用をしている企業が多い傾向が見られます。

当社「HLカンパニー」も日系企業のWeChat運用代行を得意としています。
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