これまで中国の製造業界といえば「世界の工場」と言われるほど、労働者の低賃金大量雇用で、海外メーカーの初期工程製造を請け負うのが主流でした。
しかし、昨今は自社ブランドを海外に売り込む動きが加速し始めています。
数十年に渡り世界のOEM生産を担ってきた中国メーカーには、世界で通用する技術やノウハウが蓄積されており、越境ECなどインターネットの発展と相まって海外進出を果たす企業が増えてきているのです。

東方百富

杭州に本社を構える東方百富靴下製造有限公司も、そういった企業のひとつで、靴下の生産などが主軸の典型的な中国製造メーカーです。
東方百富は、2016年末アメリカのAmazon.comに正式に進出し、2017年5月の月間売上は、早くも400万元(約60万ドル)を超えました。
東方百富が見据える新しいビジネスモデルは、中国製造メーカーの今後の経営戦略のヒントになっていくと思われます。
以下に、従来の流通網から海外市場開拓にシフトした東方百富が採用した3つの変革をご紹介します。

第一の変革

第一の変革は「明確な消費者ターゲティング」です。
東方百富では、用途別·シーン別に細かくターゲットを設定して靴下のラインナップを増やし、医療用、健康グッズ、スポーツ競技用、アウトドア用と、それぞれターゲットに特化した商品展開を図っています。

第二の変革

第二の変革は「大量生産型からオーダーメイド生産型へ」です。
越境ECの浸透により、消費者はより柔軟性の高い供給ラインを求めるようになり、統一規格の大量生産品よりも、独自性の高いオーダーメイト品のほうが市場のニーズを満たす時代になりつつあります。
東方百富は、少人数制プロジェクト単位の生産工程を複数構築することで、このようなニーズに答える事に成功しています。

第三の変革

第三の変革は「商品でなくブランドを売る」です。
新たな中小ブランドの研究開発に資金を投じ、自社オリジナルの中小ブランドを複数立ち上げ、消費者に寄り添ったストーリー性のある商品と、大手ブランドにはないアフターサービスを充実させることで、クチコミ評価を獲得し、積極的にブランドのイメージ構築を進めています。

まとめ

東方百富は代表例のひとつですが、中国製造メーカーは低賃金労働による大量生産体制から、独自ブランドを生み出すブランド輸出大国に変貌しようとしています。
品質向上に力を入れ、海外市場向けに経営戦略を練り直し、多くの自社ブランドが中国から発信される日も遠くないかもしれません。

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