出店企業から見るTmallと京東の違い

現在の中国EC市場は、市場規模·成長率·EC化比率でも、毎年高い成長を維持しており、今後もネット通販の分野は成長し続け、中国が世界を牽引していくと思われます。中国EC市場でのシェアは、Tmallをトップに京東もシェアを伸ばしていますが、これら2強化は加速しており、ECマーケットの独占率が2社へ移行しています。

Tmallと京東の違い

Tmallは、アリババグループが高品質·高付加価値商品を求める中国の消費者のために2008年に設立した中国最大のBtoC型巨大ECモール。 正規品保証があり、Tmallが認定した正規品を扱っている店舗しか出店できません。
毎年開催される、11月11日「独身の日」での1日の売上は2兆円にも達し、世界売上のNo.1を更新し続けています。
京東は、2004年からスタートした総合ECモールで、もともと電子機器販売からスタートした会社なので比較的電化製品の充実度が高く、アフターケアも充実しています。
販売もマーケットプレイスだけでなくAmazonのように直販も展開し、配達サービスも独自の物流ネットワークによりスピーディーで安心、配達の時間指定も可能。社員約11万人の内、宅配専門の社員が8万人を超えています。

Tmallと京東のビジネスモデル

Tmallが、メーカーや出店している企業自身で運営するモデルであるのに対し、京東は卸価格で買い入れた商品を、オンラインで自社販売することを得意としています。
Tmallの11月11日「独身の日」に対し、京東では毎年創業記念日である6月18日を中心に「京東618」と名付けられた大きなセールが開催され、2017年の6月1日~18日までの「京東618」は、約2兆円の取引額を記録しています。女性新規客が前年より約2倍増加し、ファッションやベビー用品·化粧品などに人気が集まったようです。

マーケットシェアの比較

2016年の中国EC市場でのシェアは、Tmall:57.2%、京東:23.4%で、京東が昨年の18%からシェアを伸ばしています。
アパレルジャンルでは、Tmall:74.3%、京東:9.2%でTmallの一人勝ち。これはタオバオ時代からの販売実績が、そのままTmallへ移行している事が考えられます。
一方、家電製品ではTmall:42.1%·京東:40%とTmallが家電マーケットシェア1位に躍り出て、今までの京東のシェアを抜いただけに、今後の京東の動きが気になるところ。
また、最近では本物志向の強いユーザーが、京東に流れているようです。
京東はテンセントとの提携により、同社が運営するメッセージアプリ「Wechat」や「QQ」からの顧客の流入が見込まれています。
中国2大ECである「Tmall」と「京東」! 出店企業は、トレンド分析とそれぞれの強みに注目しながら、最適な今後の一手を選択する必要があります。